2005年3月21日、私は新潟県の新潟市産業振興センターで開催された、同人誌の即売会…『ガタケット80』に潜入してきました。オタクならば行くのは当たり前…その他の人は「5000円あげるから!!」とでも言われない限り、絶対に行かないようなイベントだと思います。
今回は、「自ら足を運ぶつもりはまったくない!!」と頑なに言い張るみなさんを代表して、私が実際に突入しました。中の様子や雰囲気などが少しでも皆さんに伝われば…と思い、この場を借りて発表させていただきます。…と言っても、そんなに真面目なものでもないんで、お菓子でもつまみながらリラックスした状態で見てもらえれば、と思います。それでは、『ガタケット80』のレポートをご覧ください。
AM8:00 起床
目覚ましの轟音で目が覚めました。両親はまだ寝ているようです。カーテンを開けると、見事な青空…これから死地に赴こうとする私を嘲笑うかのように、春らしくいいお天気です。…しかし、形はどうあれ、これから向かう場所も考えようによっては一種のお祭りです。なのに不思議と胸は高鳴らない。クックックッ…俺の体は理解しているのか…これから何が起こるのかを!!
AM9:00 出発
1時間ほどで準備完了。深めにかぶった帽子に、いつものダウンと手提げカバン。とりあえず目が隠せれば、そうそう俺だとはわからないだろう。ついでだし、偽名も使うか。自分の「フェイト」のキャストの名を借りて、赤坂 勇斗とでも名乗っておこう。
外出時、玄関で母に呼び止められ、「どこ行くの?」と尋ねられました。マズイ! 「ガタケ。」とかそういう単語を出すと、こいつは何の躊躇もなくググりやがる! 前もぬるぽぬるぽ言ってたら2秒でググられたし…ここは慎重に…
「ガマ…と、友達の家だよ、うん。(汗)」
ギャー!! 噛んだー!! 逃げるように自宅を後にしました。
AM9:10 電車内で
乗り込んだ電車は、やけに混雑していました。この時は、休日だし仕方ないか…としか思いませんでしたが、よもやあんな伏線が張ってあるとは…… いくつか車両を移り、空いてる席を探していると、やけに人の少ない空間を発見。数秒後に理由判明。
あ……ゴスロリだ……
気が早かったのか、それとも間違ってしまったのかは定かではありませんが、車内に1人、浮いた存在が…乗客のみんなが彼女をチラチラと見ています。道理で空いてるわけだ。前にテレビで見たんですけど、コスプレイヤー(コスプレする人)って、会場で着替えなきゃいけないんじゃなかったっけ? この人は…もう着ちゃってるよ? もしや、これはコスプレでなく普段着だ!! と言うつもりナノカー!? いずれにしても、この人がかなりのアイアンハートを持っているということだけは確かなようです。青と白で合わせられた衣装でした。「惜しい! もうちょっとでガンダムだったのに!」って思ったのは、多分車内で私だけでしょうね…古町のゲーセンで同じような人を見たことがある気がするけど、きっと気のせいだろう…うん…
AM9:45 駅到着
ここで友人(道連れ)と待ち合わせることにしました。どうやらここから、会場の産業振興センターへ向かう直通の貸切バスが出るようです。待ってる時間もヒマだし、ついでに辺りを散策してみるか…
うわぁ…
駅周辺をそれっぽい人達がウロウロと徘徊しています。20〜30人はいましたね。しかも、その80%が女性。これには驚きました。とりあえずバスがどこから出ているのかわからないので、適当な2人組を見つけてストーキングすることにしました。数分歩くと、ちゃんとバス停に到着。
フッ…君は大いに働いてくれた。…感謝する。
などと心の中でほざきながら歩いていたら、視界いっぱいに飛び込んできた人の数に圧倒されてしまいました。バス停ではさらに50人ほどの容疑者達が、次のバスの到着を待っていたのです。…少々『ガタケット』をナメていたようです。まさかこれほどの人数が集まるとは…
AM10:25 バスに乗車
その後、合流してパーティ人数は3人になりました。そのまま先ほど偵察してきたバス停に向かいました。
フエテル…
明らかに列が長くなっています。それも2倍近く。100人くらいはいたと思います。しかも、並んだ後からどんどんと容疑者達が集まってくるんです。ええい、新潟の戦力(オタク)は底なしか!? しばらく並んでから、2台目くらいのバスに乗車。車内には40人くらいの人が乗り込んでいたと思いますが、ここでも8:2ぐらいで女性が優勢。新潟のオタクさんは女の子の方が多いのかな?
AM10:45 会場到着
バスに揺られて、ついに会場に到着。そして疑惑の念を抱かせるほどの長蛇の列。俺は幻でも見ているのか…? 200〜300m以上の行列が会場を囲んでおりました。最後尾に並んで入場を待ちます。道中ではコスプレ集団やポッポ焼きの屋台などもありました。
AM11:00 入場
結構なスピードで前進して行き、あっと言う間に入場です。かなりスムーズに捌けているようで、係員の手際の良さが伺えます。入場に際して、入り口で¥700のパンフレットを購入。これを買わねば中に入れてもらえないようです。
そして、ついに入場。おぉ〜、いろんな人がいるのぉ〜(笑) この中には、私のように自分の趣味を隠して生きている人や、逆にあまりにもオープンにしすぎて友達から遠い目で見られている人もたくさんいることでしょう。でも、今日この瞬間は、紛れもなくそんな彼らが主役なのです。みんなとても活き活きとしていました。
「ご来場の皆様に連絡いたします。」
などと考えていたら、場内アナウンスが…
「コスチュームプレイをお楽しみの皆様。最近、コスプレイヤーのマナーについて様々なところから、あ〜だとか、こ〜だとか言われておりますが…」
簡単だなぁ〜…
あ〜だこ〜だで済ませるこの人のセンスをとっても気に入りました。そこら中から笑い声が聞こえてきました。
「本物のヒーローは、最低でも30秒で変身します。皆さんも見習いましょう。」
いったいどうしろって言うんだ、この人は(笑) 毎回こんなアナウンスが流れるのか、ここは。余談ですが、それから1時間後くらいにこういう内容のアナウンスが流れました…
「皆さん、行き先をちゃんとご両親に告げてきてください。息子がそちらで開催されている骨董品展に行っていると言われましたが、骨董品展は来週です。ちゃんと「ガタケットに行ってくる!」と言って、家を出るようにしてください。」
ごめんなさい…僕にはムリでした…
AM11:10 バレる
販売会場には、1000組を超えるサークルが。委託も合わせると1500組くらいになるとパンフレットに書いてありました。それ+お客さんということで、ものすごい人数。バス停や、会場周辺の行列から推測できてたけど、こんなに大勢いるとは思いませんでした。この人達、普段はどこに潜んでるんだろう?
しばらく歩き、友人のコネを頼りにサークルで参加している人にインタビューをさせてもらうことに。しかし、そこには高校の時の知り合いの姿が……。落ち着け、変装してるんだ…バレたりしなけりゃ大丈夫だ…
俺 「初めまして。」
知り合い 「何言ってんの?」
2秒でバレた!!
少々甘く見ていたよ…こうもあっさり見破られるとは…てへへ…死のう…
PM0:00 なんでみんな知ってるの?
ガタケットには、毎回正午ジャストに何かイベントがあるようです。しつこく聞いたんですが、「12時になってからのお楽しみ。」とはぐらかされてしまいます。そして12時になりました。スピーカーから流れる珍妙な歌…
なんでゴッドシグマなんだ!?
あれって80年代の番組じゃなかったっけ? しかもみんな、サビで手拍子入れてるし。なんでみんな知ってるの?
どうやら、これが毎回恒例の儀式らしいです。
PM00:40 コスプレ会場
しばらくうろついた後、屋外にあるコスプレ会場に向かいました。ここもものすごい人だかり。というか、コスプレしている人か、カメラを首から下げている人しかいませんでした。多かったのは『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』や『BLEACH』や『鋼の錬金術師』辺りですか。あとは様々な作品のコスプレとゴスロリなどの衣装ですかね。一際目を引いたのはビクトリームとデカマスターでした。
PM13:00 そろそろ撤収?
まだ昼過ぎじゃん? って思うかもしれませんが、聞いた話では15時くらいには終了するイベントなんだそうです。それに、私みたいに本を買いに来たわけじゃない人間には、魔界の瘴気はキツすぎる…ラーメン屋に行ってビール頼んで飲まずに帰るみたいな感じです。でもま、せっかく来たんだし、何か買っていかないか? という言葉に反応。同人誌を買うつもりはないから、TRPGを取り扱っているサークルを探してみよう。
……!! 1つあった!!
早速向かいましたが、随分とひっそりとしていました…(つД`) とりあえず『トーキョーN◎VA』のリプレイが2冊あったので、購入。売っていた人に、「このアクトにはあなたも参加されたんですか?」と聞いてみたんですが、「いえ、私は…」という悲しい返事が返ってきて、そこで会話終了…残念ながら、TRPGはどんどん冷遇されていくようです。クソッ! 負けないぜ!!
AM13:40 撤収
というわけで、体当たりでレポートするつもりが、散々否定していた買い物までして帰るというなんとも情けない結末に…
総評としては…かなりの人口が集まるイベントですが、最近は女性が多いようです。だいたい全体の70〜80%は女性だったんじゃないかなと思います。あと、小学生や中学生の子も多かったと思います。新潟のオタクの低年齢化が順調に進んでいるのでしょう。
ガタケットは、まず第1に同人誌の即売会である。よって、同人誌を買おうと、または売ろうとしない輩が参加しても、やることはコスプレか私のようなひねくれたレポート作成ぐらいしかないということ。あなたがもし参加する場合は、このことを念頭に置いていただきたいと思います。また、リンクから行けるアンケートの回答を見てもらうとわかってもらえると思うんですが、人によっては話の通じるよい友達もできるようです。長い人生、一度はこういったものに触れてみるのも経験かもしれませんね。会場周辺の窓ガラスには、行きと帰りでは違った顔をした自分が写っていました。心なしか、少し成長したような…そんな気さえしました。
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