試練 〜太陽神の導き〜
前回のヒュールス遺跡での一件から数日…アリシュアからの呼び出しを受けて、一行はヒルガ大聖堂の中庭に集まりました。
イリード 「アリシュアがあたし達を呼び出すのも珍しいわね。」
アリシュア 「ええ、どうしても皆さんに話しておかなければならないことがありまして。」
レオン 「ひょっとして…あの女のことですか?」
アリシュア 「はい、あのリベルカという悪魔は、かなりの力を持っています。」
イリード 「それについては間違いないわね。かなり強力な呪文も使えるみたいだし。きっとレオンなんか2秒で消されちゃうわね。」
レオン 「まだ怒ってんのかよイリード、もういいだろ!」
アリシュア 「とにかく、私達に復讐するようなこともほのめかしていましたし…なんらかの対策を考えるべきではないかと。」
ディザーカ 「なにかいい考えはないのか?」
アリシュア 「ええ、それなんですが…ペイロア様の試練に挑み、邪を退けるための強力な聖印を手に入れるというのはいかがでしょうか?」
アリシュアが聖堂の司祭様から聞いた話によると、トーチ・ポートから北東に2日程行ったところにペイロア神の神殿があり、その奥には、かつて偉大なる勇者達が魔族との戦いの際に使用した聖印が保管されており、その聖印を用いることで魔族の力を大幅に弱体化させることが出来るのだとか。
リベルカはかなり強力な呪文を多用してくる凶悪な悪魔です。まともに戦ったのでは勝ち目はありません。一行はその聖印の話を頼りに、ペイロアの試練に挑むことにしました。
神殿の入り口は、巨大な門扉に閉ざされていました。さながら、外界の害悪から内部を守るかのように…
門の中央には、大きな太陽のマークが刻まれており、その下には「覚悟なき者は光を失い、道を断たれ、朽ちるであろう。真に悪と戦う覚悟のある者には、光の祝福とともに道を示そう。」と書かれていました。アリシュアが門扉に手をかざすと重い音を立てて扉が開きました。どうやらペイロア信徒の導きなくしては神殿に入ることすらできなかったようです。
一行が中に入ると、神殿の入り口の扉は独りでに閉じ、廊下の壁面に備え付けられた蝋燭に一斉に火が灯りました。試練を乗り越えるまでは、引き返すこともできないようです。一行はお互いの顔を見合わせると、覚悟を決めて強く頷き、奥へと進んで行きました。
神殿へとやってきた一行を出迎えてくれたのは天井から落下してきた瓦礫の罠でした。単身、パーティの先頭を歩いていたレオンがこの罠の餌食に。反応セーヴには自信のあるレオンもAC参照の罠となるともう諦めて喰らうしかありません。
ペイロアの神殿とはいえ、試練ともなればこうして殺傷力の高い罠も仕掛けてくるようです。レオンの怪我をなんとも気まずそうな表情でアリシュアが癒し、一行は奥へと歩を進めます。
瓦礫の罠から少し進むと、立派な造りの扉が見えてきました。扉をくぐると、そこは何もない大きな部屋。出口らしき扉にはなにやら仕掛けが。
扉には図のような細工が施されており、「この世界の理を示せ」との暗号が。さらに細工の下の方には、5つのくぼみにはめ込まれた赤、青、緑、白、黒の5色の水晶がありました。どうやらこの水晶を取り外して図の丸いくぼみにはめ込み、この世界の理を表わさなくてはならないようです。
しばらく考えた結果、外周には朝と夜を連想させる白と黒の水晶を。内側の3つのくぼみには、それぞれ火、水、大地を連想させる赤、青、緑の水晶をそれぞれはめ込みました。順番や位置は問題ではなかったようで、扉はそれで開きました。
理の扉を抜けると、そこはL字型の廊下でした。相変わらずレオンが<捜索>をミスり、毒が塗られた回転する刃の罠に襲われます。今回も磨きがかかったうっかりっぷりを惜しみなく披露。
廊下の突き当りには扉があり、「汝ら、光を信じよ。さすれば光は汝らの信頼に答え、道を示さん。例え、それが偽りのものであっても。」と書かれていました。
扉の向こうは、真ん中に大穴が開いた部屋で、35フィート向こうの対岸に扉がありました。大穴に向かって瓦礫を落としてみるも、何かにぶつかったような音はいつまで経っても聞こえてきません。どんだけ深いんやこの穴。扉にかかれたヒントが、向こう岸に渡るためのカギなのでしょう…
アリシュア 「困りました…これでは向こう側に渡れませんね。」
レオン 「なぁイリード。空飛ぶ魔法とかないのか?」
イリード 「あるにはあるんだけど…今日は準備してきてないわ。」
レオン 「なんだよ、じゃああの謎解きをクリアするしか……って、ディザーカ、お前何してんだ?」
ディザーカ 「ん? ああ、なんかここに見えない床があるみたいなんだ。」
レオン 「なんだって!?」
横に少しずつ動きながら、大穴に向かってグレイヴを抜き差しするディザーカ。不審に思ったレオンが声をかけると、ディザーカは不思議そうにそう答えました。どうやら見えない何かにぶつかる手応えを感じた箇所があり、そこが横幅10フィートの広さを維持したまま部屋の向こうまで伸びて行ってるのだとか。
アリシュア 「ここを渡って行くしか…ありませんね。」
レオン 「ま、まぁ…ディザーカの武器で確認しながらゆっくり歩けば…」
イリード 「…………。」
ガスガスガス!
レオン 「あの、イリード…さん? 何を?」
イリード 「見てわからないの? 袋にチョークを入れて砕いてるのよ。」
レオン 「いや…だからまた、なんで?」
イリード 「バカね! 砕いて粉にしたチョークを振りかければ、床の表面に堆積して道標になるでしょ!」
レオン 「あ、なるほど。…俺はまたてっきり八つ当たりでもしてんのかと…」
イリード 「そんなワケないでしょ! ホラ、早くあんた、これ使って道調べてきなさいよっ!」
レオン 「な、なんで俺が!」
イリード 「手が汚れるからよ! それに落ちたらどうするのよ、危ないでしょ!」
レオン 「なんて自分勝手な…って待てよ、こんなちょっとしかないのか!」
イリード 「チョークなんか10本も20本も持ち歩かないわよっ! 文句言ってないで早くしなさいっ!」
ディザーカ 「レオン、これも使ってくれ。」
レオン 「ん? 何だよコレ………塩か?」
イリード 「なんであんた、そんなの持ってるのよ…」
ディザーカ 「いや、料理するのに使うだろ?」
イリード 「だからなんでそれを冒険に…」
ディザーカ 「何言ってるんだ。冒険して腹が減ったらメシ食うだろ?」
イリード 「わ、わかったわ、もういいから…」
この見えない床にライトなどの光の補足説明がある呪文を投射すれば、道が光り輝くという仕掛けだったのですが…一行は「リドルを解く」という正攻法を使用せず、脇道からこの試練を乗り越えました。
部屋の先は再びL字型の廊下。レオンが<捜索>をし、本当に久しぶりに罠の発見に成功。<装置無力化>の判定も行い、満面の笑みのレオン。しかしイリードは「なんか信用できないから一人で少し進んでみなさい。」と辛辣な一言。これに腹を立てたレオンは、単身先へと進みます…が、数歩進んだところで壁から射出された無数のダーツによってボロ切れのようにされてしまいました。<装置無力化>は失敗していたようです。なんとも哀れ…
その後、グリフ・オヴ・ウォーデンの罠に痛めつけられたレオンをアリシュアが治療しながら、一行は着実に奥へと進んでいきます。
再び豪著な扉の前にたどり着いた一行。「光があればまた、影もあり。この部屋にて汝らは己の影と相見える。この影は汝らの心の闇であり、また、汝らの可能性であった者でもある。影を打ち破りし者には更なる道を示そう。」と書かれていました。
扉を開け、部屋の中に入った一行は言葉を失います。細かい部分こそ若干違えど、ほとんど自分達と同じ容姿の者達が目の前に現れたのですから。
この部屋は影の部屋。PC達の悪属性バージョンと戦わなくてはならない試練です。裏ディザーカ、裏レオンの戦闘スタイルは大きく変わりはしませんが、裏アリシュアと裏イリードは悪呪文を多用するスタイルへと切り替わっており、大幅に変更、強化されています。
裏ディザーカ 「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!」
裏アリシュア 「死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに…」
アリシュア 「うっ…」
ディザーカ 「な、なんだこいつら…」
裏イリード 「やっと来たわね。まったくいつまで待たせんのよ。」
イリード 「ハァ!? なによあんた、いきなり偉そうに!」
裏イリード 「あら、偉そう? あんたに人のこと言えるの?」
イリード 「なんですってー!?」
ディザーカ 「まぁまぁ、落ち着けよイリード。」
レオン 「もう1つの可能性とか言っておきながら、イリードだけ本物とまったく一緒じゃんか…」
イリード 「ちょっとアンタ! あたしとアレのどこが一緒だって言うのよ!」
レオン 「そういうとこだよ!」
裏レオン 「さっきからギャーギャーうるせぇんだよ。」
イリード 「ムキー! なによあんた文句あるっていうの!?」
レオン 「ちが! 俺じゃねーって! 言ったのあいつ! 何で俺に掴みかかるんだよーっ!!」
裏レオン 「ったく、大したことねぇくせに口だけは達者だよな、お前は。」
イリード 「あ、あ、アンタに言われたくないわよそんなことーっ!」
レオン 「だから…俺じゃな…っく…苦し………離し………」
ディザーカ 「まぁまぁイリード。そろそろ本気で落ち着こう。」
イリード 「落ち着けるワケないでしょ!? あんなニートにバカにされたのよ!?」
裏レオン 「お前だってヒキコモリだろうが。」
イリード 「それ言ったらあんただって引きこもりじゃない! この部屋から出たこともないくせにデカい口叩いてんじゃないわよ! 無職でヒキコモリとかハッキリ言って人間のクズよ! どうせあんたもこいつと同じでくだらないことばっかり考えて毎日毎日無駄に時間を浪費してるんでしょ! 社会の底辺這いつくばってるくせに中途半端なプライド意識してんじゃないわよ! 働いたら負けとかいう以前にあんたなんかこの世に生まれてきちゃった時点で敗者確定なのよ! 底辺なのよー! あんたこそ裏も表も変わらないわ! どっちにせよどうしようもないバカハーフリングじゃない! 今この瞬間を真面目に生きているすべての人に心の底から懺悔し…」
レオン 「……………………どうせ俺なんて………」
アリシュア 「あわわ! レ、レオンさんの目から生気が!」
ディザーカ 「イリード…頼むからその辺でやめてやってくれ…」
こうして、前代未聞のテンションで戦闘がスタート。
まずは先手を取ったレオンが裏ディザーカに足止め袋を投擲。命中こそするものの反応セーヴには成功されてしまい、移動を阻害するまでには至れませんでした。そして、次はディザーカの手番。立ちすくみ状態の敵の合間を縫うように駆け抜け、一気に裏イリードの懐へ! 強打を4点振ったこの一撃がなんとクリティカル! 一閃のもとに斬り伏せます。後ろで「遠慮しないで思いっきりやっちゃいなさい!」とか叫んでいたイリードが「そこまでしなくても…」といった表情で青ざめていました。
しかし、敵の裏アリシュアが唱えたハーテイクという悪呪文が、セーヴに失敗したディザーカを無防備状態にし、続く裏ディザーカが全ラウンドアクションでとどめの一撃を宣言。50点近いダメージを受けてしまいます。HPはまだ半分近く残っているというのに、頑健セーヴに失敗してディザーカが殺されてしまいました!
怒りを露わにする一行でしたが、ディザーカの死はパーティの攻撃力と守備力を同時にガタ落ちさせるほど、大幅な戦力の低下に繋がっていました。イリードがファイアー・ボールやライトニング・ボルトを効果的に使用するも、ダメージソースがこれだけでは長期戦は必至。
その後なんとか裏アリシュアを倒すことに成功したのですが、これまで前線を支えていたレオンは裏アリシュアの放つ悪呪文によって能力を大幅に低下させられており、ついには裏ディザーカの
クリティカルを受けてしまい死亡…ディザーカに続いて、レオンまでもが黄泉路へと旅立ってしまいました。
続くイリードの手番で裏レオンを倒すことに成功し、この段階で戦況は2対1。裏ディザーカの攻撃をアリシュアがカットし、後方からイリードがマジック・ミサイルを投射。2ラウンド後にPC達の勝利という形で、この戦闘は終了しました。
ディザーカとレオンを失い、残る2人も力をほぼ使い果たしており、さらに退路までも断たれているという現実(リアル)。絶対絶命なんてレベルはとうに超えています。
しかし、前に進むより他、彼女達に道は残されていません。涙を拭い、覚悟を決めて奥へと続く扉を押し開きます。
しかし、心配する彼女達を他所に、次の部屋は神殿の最奥…宝物庫となっていました。未だ輝きを失わぬ数々の財宝と共に、3体の石像が跪き、お目当ての聖印を掲げていました。
右から片手に斧を持った重装備のドワーフ、真ん中に太陽の印が付けられた鎧を着た人間、左に片手に弓を持ったウィザードの格好をしたエルフの女性の像となっており、それぞれの像にはダイタス、ルト、ヒュガロと名前が彫られていました。きっと彼らが、遥か昔にこの聖印を用いて魔族と戦った勇者達なのでしょう。
像の下には石碑があり、「汝らの全てを太陽神は見届けた。汝らは認められたのだ。この聖印と装備を用いて悪に立ち向かえ。」と彫られていました。肝心の聖印はもうかなりボロボロになっており、イリードの呪文学判定の結果、後1回しか使えないことが判明しました。文字通りの「切り札」です。
こうしてボロボロ(というより壊滅一歩手前)でペイロア神の試練を潜り抜けた一行。何とかリベルカに対する具体的な回答策を手にすることに成功しました。
しかし数日後、一行はリベルカの陰謀によって窮地に立たされることとなります。意を決して敵の本拠地へと乗り込む一行に、果たして勝利の女神は微笑むのか…?