第01話 運命に導かれし者達
PC達の冒険は、名もなき大陸の小さな農村で始まりました。
ローグのミュリエールは、故郷を探してこの大陸を旅してみたが、結局見つけることはできず…次の大陸に渡るためにこの村の先にある港町を目指していました。
サムライのルインも、同じく武者修行の途中に辿り着いたこの大陸を歩きつくし、別の大陸に渡ろうと港町を目指していたところでした。
ドルイドのレイムは、故郷の村を壊滅に追いやった魔導師を探して旅を続けていました。
第01回目のセッションは、この貧しい農村と港町を結ぶ街道沿いの森林地帯に、ゴブリンが巣を作ったところから始まります。旅の途中で立ち寄ったミュリエールは、そういった理由で街道を進むことができず、足止めを喰らっていました。そんなある日、ルインもこの大陸を旅をしていて偶然この村に立ち寄り、1晩過ごすために宿屋に入り、その1階にある酒場で食事を取っていました。
するとその村の村長が、ルインのあからさまに冒険者風な姿を見て話しかけてきました。内容は、前述のとおり、ゴブリン退治の依頼でした。ゴブリンの巣の近くを通っている街道は、この村と港町を繋ぐ唯一の輸送ルート。ここが通れなくなったことで、食料などが手に入りにくくなり、村人はみな、とても困っているのだそうです。
村長 「旅のお方、どうかこの村を救ってくだされ!」
ルイン 「これも何かの縁でしょう。未熟者ではありますが、私で力になれるのならば喜んで手を貸しましょう。」
引き受けはしたものの、ルインはまだまだ未熟者、1人でゴブリンの巣に乗り込むほどの腕はありません。そこで…
ルイン 「戦闘のできる者、この辺りの地理に詳しい者、誰か私と共に来てくれないか!?」
村人達 「………………………。」
誰も名乗り出ようとはしません…
ルイン 「逃げることは恥ではない。だが、戦わずして諦めるなど言語道断だ! あなた達の村だろう! 何とかしようという気にはならないのか!?」
雄弁を奮ってみるも、すべてムダ…怒りが頂点に達しようとしたその時…
レイム 「なんだいなんだい、どいつもこいつもだらしないねぇ。」
ドルイドのレイムが協力者として名乗り出てきてくれました。
レイム 「アタイが手を貸してあげるよ。」
ルイン 「かたじけない、私の名はルイン。あなたは?」
レイム 「アタイの名はレイム。アル! おいで!」
すると、酒場の中に一匹の狼が入ってきました。
レイム 「こっちは相棒のアルだよ、よろしくね。」
ルイン 「……………………。」
レイム 「ん? どうかした?」
ルイン 「…か…噛んだりしないよな?」
さらにとその後、再び酒場のドアが開かれました。中に入ってきたのは、まだ幼く見える1人の少女でした。
村長 「おお、君か! ささ、こっちへ来たまえ!」
ルイン&レイム 「???」
村長 「この方達も、一緒に行ってくださるそうだ。」
ミュリエール 「…よろしく。」
ルイン 「待て、こんな小さな女の子を危険な場所へ送り込むと言うのか!?」
ミュリエール 「…大丈夫…慣れてるから…」
ルイン 「う……そ、そうか…ならばよろしく頼む。私の名は…」
ミュリエール 「…ルイン…………さっき聞こえた………あなたがレイムで、そっちがアル…」
レイム 「そ…そう…よろしく。あなたは?」
ミュリエール 「名前…ミュリエール…」
ルイン 「ミュ…ミュリ……んん…難しい名だな…」
ミュリエール 「…………ミューって呼んでくれるとうれしい…」
ルイン 「そうか、ミューか。それなら覚えやすそうだ。よろしく頼む。」
こうして出合った3人は、準備を整えて、翌日の日の出と共に村を出発しました。村からゴブリンの巣までは5マイルほど。これだけ近いのなら、村人達の怯えっぷりも納得がいきます。
さすがにゴブリンの巣というだけあって、入り口から中までゴブリンだらけ。たまに出てくるホブ・ゴブリンが中型のため、クラブのダメージが1d6でマジ痛ぇ。PCのHPは低い者が8、高い者でも12…1d6に筋力乗せられると1撃で大ピンチになります。
回復もキュア・マイナー・ウーンズ(1点回復)が3発、キュア・ライト・ウーンズ(1d8+1点回復)が2発しかないため、慎重に進み、なるべくACとHPの低いキャラクターをカバーし合いながら戦うように心掛けました。そして、ヤバくなったら余裕のあるうちに引き返す。1階を探索し終えるまでに2回引き返し、地下を捜索してボスの手前でもう1回引き返しました。結構な数のゴブリンを倒したんで、全員がレベルがアップ。序盤のLVアップは本当に嬉しい♪ 終盤も終盤でうれしいけど、やっぱり序盤の方がキャラが強くなったと実感しやすいです。全員のレベルが上がったところで、いよいよボス戦です。
最後の部屋にはゴブリンが3体と、ボスのバグベアが1体いました。ゴブリンの脅威度が1/3なのに対して、バグベアの脅威度は2…装備も、武器防具共にしっかりとした物をつけているようで、とても手強そうです。
最初に動いたのはウルフのアルでした。ソッコーでゴブリンの1体に飛びかかり、そのままノータイムで噛み殺しました。しかし、その後にバグベアからモーニング・スターで攻撃されてしまい、1撃でHPの大半を奪われてしまいます。次の手番はルイン、ザコは無視して即座にバグベアに攻撃。出目は19で命中…バスタード・ソードはクリティカル域が19〜20なので、即座にクリティカル判定。そこでも出目が走り、4d8+6のダメージ。1撃で親玉の首をはね、戦況を引っくり返します。残った2体のゴブリンは、アルがクリティカルの連発で仕留めました。そして戦闘は終了。PC達の勝利です。
部屋にあった宝物は、ダイスロールで中身が決定しました。このダイスロールでもみんな結構いい目が出ました。いきなりキャッツ・グレイスのワンドが手に入ったりしました。売るか使うかは別にして、高価な宝物が手に入ったのでみんなご満悦です。
最後は、村で報酬をもらってミッションクリア。これで街道を通って港町に行くことができます。そう思ったのは3人とも一緒だったようです。
ルイン 「…目的地が一緒なら、このままみんなで次の街を目指さないか?」
レイム 「…そうね…それも面白そうね!」
ミュリエール 「………よろしく。」
ルイン 「旅は道連れ、世は情けと言うしな。改めてよろしく頼む。」
ミュリエール 「…どーいう意味?」
その日は馬車と馬、食料品と水を買い込んで、休息をとり、翌日の朝に出発しました。目的の港町までは200マイルほど。たくさんの希望と僅かばかりの不安を胸に、(その後すぐ逆になることも知らずに…)一行は名もなき農村を後にしたのでした。