第02話 死者の森
〜野営時の1コマ〜
ルイン 「何!? 17歳!?」
ミュー 「……… (コクコク)」
ルイン 「もっとずっと年下だと思っていたのに……」
レイム 「そういうアンタは?」
ルイン 「私は18歳だが?」
レイム 「そ…そう… (同い歳ぐらいだと思ってた…)」
ルイン 「では、レイム殿は?」
レイム 「アタイは25歳だよ。」
ミュー&ルイン 「………やっぱり。」
レイム 「なによー!!」
一行は街道沿いに旅をして港町を目指していました。村から港町までの距離はおよそ200マイルちょっと。kmに直すと328kmほど。車なら6時間前後で着くのに、馬車を引いて歩いて行くと7日間以上もかかるというぼったくりっぷり。文句言っても自動車が手に入るワケではないので、おとなしく1週間分の食料を買って出発することにしました。この時点で圧倒的に食料が足りないということにその場の全員が気付いていなかったという愚かさ…この愚行が後々パーティに大打撃を与えることになります。まぁ、そりゃ当たり前ですね。
初日はとにかく前に進むように心掛けました。5マイルほど進むと先日ゴブリンを退治した森に入りました。その森が10マイルほど続き、平地が40マイルほど続きます。今日は平地を15マイルほど進んだところで野営しようということになりました。森を抜けたところで気付いたんですが、薪が1本もない…DMに、平地に樹はあるかと聞いたんですが、「ないよ。」ときっぱり答えられました。しょうがない、森に戻って木枝を回収することにしました。
小枝の回収が思ったよりもキツい…1d100をして、50以上が出たら発見、本数は1d20本。なかなか見つからず、また、見つかっても全然本数が足りず、結局1時間以上森の中で小枝を探し続ける一行…まぁ、なんとか見つかりはしたんですが、予定していたところまで進むことができず、初日から暗雲が立ち込めます。しかも、休息中のエンカウント率が結構高くて、思ったより休めず、消耗したまま2日目に突入することに…
2日目は早朝に出発。時間はたっぷりあるので8時間ほど歩けます。8時間歩いても平地を抜けられないことに気付いたのは、6時間ほど進んだ頃でしょうか。森に入れなきゃ木が取れないじゃんというPL達の悲痛な叫びに、DMが「しょうがないな…」といった表情で、「昨日の木が余っていたことにしていいよ。」と言ってくれました。火がおこせることがこんなにも嬉しいことだとは思いませんでした。これで野菜タップリのスープが飲めます。1晩スープを飲むごとに野菜の数を1ポンド減らしていたルイン…3人前+アルのぶんとはいえ、鍋の中に450gも野菜入れるなって話ですよね。
ルイン 「さぁ、できたぞ!」
ミュー 「……多すぎ…」
ルイン 「何言ってるんだ、たくさん食べなければ大きくなれないぞ。」
レイム 「…いや…それでも多すぎ…」
3日目、いよいよ森に突入です。この森は1時間ごとに20%の確立で敵が襲ってくる素晴らしい森です。さっき抜けてきた平地は10%…そう考えると2倍敵が出やすくなっています。単純に考えれば5回に1回…10時間進んでも2回しかエンカウントしないじゃんとか思ってたのに、5回のうち4回も敵が出てきてウゾダドンドコドーン!! しかも出てくる敵が100%アンデッド。クリティカルもミューの急所攻撃もすべて無効…ウザすぎます…
夜間はさらにエンカウント率増加。40%とかもはや虚構…まともに寝ることもできず、度重なる戦闘でHPは徐々に0に近づいていき…夜も明けかけたところでグール襲来。この戦闘で、ルインがグールに噛まれて麻痺状態。治ったと思ったらグールにひっかかれて、頑健セーヴに出目2で失敗して食屍鬼熱という病気に感染してしまいました。こんな…村と町のちょうど中間みたいなとこで病気に感染するとは思っていませんでした。福本マンガのように脳髄がぐにゃりと音を立てて歪曲したように感じました。
何とかグール達を倒すことができたものの、夜明け前だったので回復魔法も底をついており、PC達のHPも余裕の1桁でした…しかし、夜が明ければレイムが瞑想して魔法を準備することができる!
瞑想中にスケルトン乱入ッ!!
回復魔法なし&消耗しきった状態での戦闘が始まりました。1ラウンド目で敵のクリティカルをもらってHP−5でルインが気絶。みんなのがんばりのおかげで、何とかルインを収納して馬車ごと撤退することに成功。距離をとって瞑想を再開しました。瞑想は毎日決められた時間に行わないといけないので、もう少し遅かったら回復魔法なしのままもう1日過ごすハメになるところでした。危ない危ない。
即座に回復してもらい、何とか意識を取り戻すことができました。朝食の支度の途中だったので、急いで鍋を回収しに戻りました。鍋がないとスープが作れない!!
結局この日は、森から逃げ出すのに1日費やしてしまいました。エンカウント率の少ない平地で1晩過ごします。
5日目、迂回ルートを考えていたんですが、DMが自ら「気が狂っていたとしか思えない。」と言い出し、エンカウント率をDMGに記載されているとおりに戻してくれました。なんとあの森は、昼夜を問わずして10%のエンカウント率だったようです。あまりの難攻不落っぷりに感動したので、恐怖森林とか冥府への森とか超魔界森とか、ドロドロした名前を付けてあげました。
エンカウント率が標準に戻ったので、迂回などせずに森を突っ切る方針で再スタート。ここにきてやっと食料が足りないことに気付きました。もはや遠回りなんかしている時間はありません。しかし、グールが持っていた食屍鬼熱が1日の潜伏期間を経て発病。ルインの敏捷力と耐久力が毎日1d3ずつ下がってしまいます。頑健セーヴ13以上…つまり70%の確立で病気の進行を止めることができるんですが、みなさんの予想通り失敗…ちょうど森を抜けたところで全員のレベルが上がっていたので、レイムが2LV呪文を使えるようになっていました。レッサー・レストレーションで下がった能力値を回復して、再び森へと入ります。
その後は順調な旅が続きます。敵はあまり出てこなくなったし、出てきたとしてもレベルが上がったからあまり苦戦せずに倒せるし…前半が地獄だったため、普通の難易度の旅が死ぬほど平和に感じます。
アルの足払いハメが炸裂したこともあって、冒険はとてもスムーズに進み…村を出てからちょうど1週間経った頃には、100マイル続くこの森も残りはあと30マイル。しかし食料はもうほとんど残っていません。具体的に言うと、保存食が1と1/3×人数分…つまり、全員があと4食しか食べられないということです。肉も野菜もパンも…塩すら使い切りました。まぁ、残っていたとしても傷んで食べれなくなっていたでしょうけど…この森を抜けた後も湿地が50マイルほど続くので、残りの行程3日間を4食で過ごさねばなりません…3日間4食で、1日に約8時間移動&戦闘なんてできるのかどうか、本気で心配です。
まぁ、湿地帯にはクロコダイルが出現するらしいので、運よくエンカウントできたら瞬殺してもりもり食べたいと思います。果たして、一行は餓死せず港町に辿り着けるのでしょうか!?