第04話  新たなる力




ルイーズの依頼をこなして特別に貨物船に乗せてもらった一行。貨物船のためか客室などはなく、グラドサルに到着するまで貨物室の中ですごすことになりました。

出航してからしばらくすると、1人の青年が部屋に入ってきました。その青年こそ、4人目の仲間となる運命を持つソーサラー、グレンです。

彼の旅の目的は、全世界のいじめられっ子を代表して、力を持つものに鉄槌を下すという…なんともひねくれたものでした。何故そうなってしまったのかは、グレンのキャラクター紹介をご覧ください。





ザコ部屋でバッタリと顔を合わせるPC達…ナメられたらいかんと、さっそく<はったり>で虚勢を張るグレン。自分は強いんだ、決していじめられっ子なんかじゃないぞと胸を張りますが、2秒でレイムに看破され、捨て犬のようにおとなしくなりました。






ルイン 「あなたもルイーズ殿の依頼を解決して、この船に乗せてもらったのか?」


グレン 「ええ、そんなところです。」


ルイン 「そうか。…そういえば自己紹介がまだだったな。私の名はルイン、ルインガーネットだ、よろしく。」


ミュー 「…ミュリエール………ミューって呼んで…」


レイム 「アタイはレイム・シュアー、こっちがアルよ。よろしく。」


グレン 「はぁ…私の名前はグレンです。」


アル 「…………………………。」


グレン 「……………………。 (何ジッと見てんだ、この狼…)」


アル 「…………………………!! (くわっ!!)」


グレン 「ひぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいぃぃぃぃ!!


ルイン 「なっ…なんだ、どうしたっ!?」


グレン 「この狼がっ!! いきなり牙剥き出しにして「くわっ!!」って顔を!!」


ミュー 「………? ……寝てるみたいだけど?」


レイム 「変ねえ…」


グレン 「ほ、本当ですよ!!」


レイム 「もしかしてアナタ…動物とか苦手?」


グレン 「は? な、何をバカな! 怖いわけないじゃないですか! やだなぁ、は、はははは!!」


レイム 「…………。 (この人、100%アルに怯えてるわね…)」






こうしてアルとグレンの格付けが済みました。その後、気まずい空気が流れたので、ルインが何度か話を振ってみますが、今度は刃物がチラついているのがまずかったのか、まったく会話になりませんでした。ここで軽く、お互いの身の上話を済ませたという設定でゲームを続けることにしました。





数時間後…話題も尽きておとなしくなった一行の耳に、突然敵襲などの危機を知らせる鐘の音が…次いで、部屋の外から怒号や刃物のぶつかり合う音が聞こえてきました。扉を蹴破って外に出ると、サフアグンが2匹、船員を襲っています。ここで戦闘開始。狭い廊下での戦闘でしたが、数も実力もこちらの方がかなり上。ミューとアルの連携をグレンがマジック・ミサイルで援護し、手傷を負うことなく撃破。出会ったばっかりですが息はピッタリ。






グレン 「イイィィィィヤァッ!! (呪文発動時の謎の奇声)」


ミュー 「……………………。」


ルイン 「……なんと面妖な…」


レイム 「……正気…なの…? 何かに憑依されてたりとか…」


グレン 「何をボーっとしてるんです、早くこの人の手当てを!」


ミュー 「……正気みたい…」


ルインレイム 「……そう……」






グレンの正気…というか人格を心配しながらも、一行は船員の治療をして操舵室に上がります。





操舵室には3匹のサフアグン。ルインが速攻を仕掛けて、アルとの挟撃陣形で1匹を沈めると、今度はグレンがアルと共に1匹に集中攻撃を仕掛けて倒します。最後はミュールインと挟撃、急所攻撃が炸裂して最後の1匹を倒しました。外から悲鳴が聞こえたので、傷の治療を手早く済ませてから急いで甲板に出ます。





船首と船尾にそれぞれサフアグンが2匹ずついるようなので、まずは船尾から叩くことに。ルインの出目が走り、一撃で手前の1匹を切り払うと、残る1匹はミューが急所攻撃で瞬殺。

その後の船首のサフアグンも、アルの超速50フィート移動が炸裂し、敵が行動する前の立ちすくみ状態を狙って一気に押し切りました。その後、左右からサフアグンが2体ずつ上がってきましたが、手こずることなく撃破。まぁ、連中の脅威度は2だから、苦戦してたら問題ですよね。





最後に1匹で堂々と上がってきたのが、サフアグンのボス。レンジャーのクラスレベルを有しており、レイピア二刀流&得意な敵(人型生物:人間)とかも習得している、かなりヤバそうなボスキャラです。しかし、イニシアチブが全員かなり高く、グレンのスコーチング・レイ→ルインのクリティカル・ヒットで瞬殺! 攻撃喰らったら誰か死にかけるかも…と心配していたDMを尻目に、わずか2発で行動前に殺害してしまいました。





最後はサフアグンの持っていた財宝を%ダイスでロールしてセッションは終了です。珍しくかなりの量の財宝を手に入れることができました。

今回の襲撃で船員に負傷者が出てしまいましたが特に問題はなかったらしく、その後の航海は順調に進み、一行は無事にグラドサルに到着することができました。






レイム 「ふぅ、なんとか無事に辿り着いたわね!」


ミュー 「大きな街…」


ルイン 「そういえば…グレン殿はこれからどうするのだ?」


グレン 「特に決めてはいませんが、この街の困っている人達を助けてから、次の街を目指そうと思います。」


ルイン 「うぅむ…なんと大きな器だ…やはり男子たるもの、目標は大きくなくてはいかんな。」


グレン 「…は…はぁ… (今さらいじめっ子狩りだなんて口が裂けても言えねー!!)」


レイム 「アタイ達もしばらくこの街に滞在しようか?」


ミュー 「…賛成…」


ルイン 「…そうだな。我々は先を急ぐ旅をしているわけではない。たまには息抜きも悪くないな。」


グレン 「…じゃあ、私はこれで…」


ルイン 「ああ。縁があったらまた会おう。」


グレン 「…え…えぇ、それじゃ!」






こうして彼女達はグレンと別れ、グラドサルの街へと入っていきました。一行が再開する日はそう遠くはなく、ほんの数日後のことになるのですが…もちろん、それを知る者は誰もいませんでした。






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