第05話 死神の塔
一行は貨物船に乗せてもらい、船内でグレンと出会い、海上でのサフアグンの襲撃を無事に乗り越え、グラドサルに到着した…ってところでした。
到着後、とりあえずグレンと別れ、宿で一晩過ごした後、それぞれ行動を開始しました。…と言っても、全員が全員お買い物なんですが…
新しい鎧を買いに行ったルインでしたが、気に入った鎧がとても高価で手が届かなかったのだとか…酒場でそのことをみんなにボヤいていると、公爵の使いを名乗る男が一行に近づいてきました。
この町は、ローラ家英公爵ラッシャン[世という人間の男性が支配しており、その公爵が現在勅命を出しているのだそうです。内容は、余所者の冒険者に片っ端から声をかけ、屋敷に連れて来いというもの。
実は現在、この町の近くの塔に、ネルル(死の神)を崇拝する邪悪なクレリックが立て籠もっているのだそうです。その男は死霊術を使ってアンデッドを使役し、何か良からぬことを企んでいるのだとか。
この国では市民が魔法について勉強することは昔から禁止されていました。そのため、この国の人々は魔法というものをよく知らず、同時に、その未知の力を操るネルルの信徒を強く恐れているのだそうです。大規模な軍隊を動かして他国を刺激するのは避けたい…しかし、少数精鋭で攻め込もうにも兵が魔法を恐れて使い物にならない…そこで、他所の土地からやってきた冒険者を集め、報酬を払ってこれにぶつけようという考えなのだそうです。詳しい話を聞いた一行(…というか、ルイン)は早くもやる気満々です。
ルイン 「罪のない人々を脅かすばかりでなく、死者をも冒涜するとは…!」
レイム 「そんな危険なヤツ…野放しにしておくわけにはいかないね。」
ルイン 「その通りだ! ………ところで、“ねるる”とは何だ?」
全員 「………………………。」
一行はすぐさま公爵の屋敷へと向かうことにしました。そこには先日分かれたグレンの姿もありました。出会い頭にはったり判定をしてくるのにもみんなもう慣れました。
グレン 「おや、みなさんも来ていたんですか?」
レイム 「なんだ、アンタもいたのかい?」
グレン 「まぁ、困っている人を見捨ててはおけま…」
アル 「………!! (キシャァ!!)」
グレン 「ヒィィィィィィィィ!!」
全員 「………………………。」
相変わらずこの狼は…懐いてるのかキレてるのかよくわかりません。
公爵の屋敷には大勢の冒険者が集まっていました。…しかし、彼らは説明を聞いたらぞろぞろと退室して行き…結局残ったのは、一行と他数名だけでした。無理もありません、みんなお金よりも命の方が大事だと理解しているのです。結局、このメンバーで3日以内に悪のクレリックを退治することになりました。塔はグラドサルから東に5マイルほどのところに建っているらしいので、準備をして早速出かけることに。
塔に着くと、先に出発した冒険者達の変わり果てた姿がありました。どうやら入り口にトラップが仕掛けてあるようです。ミューが<捜索>をしても、特に怪しいところは発見できず、しょうがないのでそのまま中に入ることに。
1歩踏み込むと、バーニング・ハンズ&アラームの罠が発動、次いで人間と狼のスケルトンが3体ずつ押し寄せてきました。そのまま戦闘開始です。
スケルトンの持つダメージ軽減能力に多少苦しめられましたが、そんな中、まったく軽減されないグレンのマジック・ミサイルが神がかった強さを見せます。そんなグレンの活躍に触発されたのか、ルインも負けじと剣を振り、軽減しきれないほどのオーバーダメージを叩き込んでいきます。結局、時間こそかかったものの、なんとか敵を撃破することに成功しました。1階は特に何もなく、敵も先ほど押し寄せてきた6体で全てだったようです。そのまま2階へ上がることにしました。
2階でも再びアラームの罠を踏んでしまい、トログロダイトのゾンビ×3とバグベアのゾンビ×2にお出迎えしてもらえました。10フィート幅の通路だったので、ルインとミューで壁を作って応戦。そして安全な後方から、敵の後衛に控えるバグベアのゾンビに向かってグレンがマジック・ミサイルを発射。直接対決までになるべく弱らせておこうという考え。
敵の武器がなかなか攻撃力の高い武器で、かつ、DMのダメージロールがぶっ壊れていたため、なかなかにハードな戦闘になりました。バグベアのクリティカルをもらってルインとアルが気絶しかけたりもしましたが、苦戦の末にPC達が勝利しました。このフロアも1階と同じく、アラームですべての敵が集まってきたようなので、さっさと調べて3階に突っ込むことにしました。
3階はこれまでのフロアと違って、随分と生活的なフロアになっていました。書庫や寝室、物置や金庫など、一通り捜索をしていきました。途中、アニメイテッド・オブジェクトに襲われたりもしましたが、大したダメージを受けることなく突破し、いよいよ一行は最上階へと突入。
4階は、1本の廊下と1つの大部屋といういたってシンプルな造り。相談した結果、ミューが扉を開けて間髪いれずにグレンがマジック・ミサイルを投射。ボス戦はこちらの奇襲ラウンドからスタートしました。
しかし、第1ラウンド目でルインがコーズ・フィアーをかけられ、セーヴに失敗。3ラウンドの間怯え状態になるというキッツイスタートを強いられます。全力で敵前逃亡を開始するルインからは、もはや武士道の欠片も見受けられませんでした。
脱落者に気を取られている余裕は一行にはありません。戦場では、ミューとアルが敵を挟撃状態に追い込み、後方からグレンがマジック・ミサイルをホイホイ投射。敵の魔法や移動を機会攻撃のプレッシャーで見事に封じ、3ラウンド後…ルインが戦線に復帰すると同時に戦闘は終了しました。
死体を公爵の屋敷まで持って帰り、報酬を受け取って今回のセッションは終了。なんとか街の平和を守ることができました。
一行は再びグレンと別れ、受け取った報酬で装備を整えました。次の目的地は、グラドサルから北東に130マイルほど進んだところにあるグリラックスに決定。向こうに着いてからも生活に困らないように、グラドサルにもう少し滞在し、路銀を稼ぐことにしました。
高額報酬を求めてミューが盗賊ギルドに入会しました。早速回してもらった仕事はというと…町から11マイル離れた寺院跡地に住みついた、ならず者達の退治でした。簡単な仕事だと思い、油断する一行…しかし、それが大きな思い違いだったと気付くのは、彼らと対峙した直後のことでした…