出会い 〜新米冒険者VS悪知恵ゴブリン〜 後編




起床後、前日のケガが残っているPCがいたので、アリシュアが呪文で回復し、この日も早速ゴブリンの巣穴へ。この日は、前日ロープを結んで跳躍して乗り越えた落とし穴をもっと簡単に越えるために、村から10フィートの梯子を借りてきました。





入り口に落とし穴があり、パニくる一行。昨日はなかったので、我々が帰った後、大急ぎで作られたのでしょう。そしてうろたえる一行に追い討ちをかけるかのようにゴブリン×2とホブ・ゴブリンの襲撃。

奥のホブ・ゴブリンをイリードがスリープで眠らせて、手前のゴブリン達をみんなで集中攻撃して撃破。最後は奥で寝ているホブ・ゴブリンを、とどめの一撃でサックリ仕留めて戦闘終了。





しばらく進むと、例の分かれ道。北東の沼地を越えるルートはイリードが全力で拒んだため、この日も北西のルートを通ることに。

そして北西のルートを選んだ瞬間、ゴブリン3体が強襲! 即座に展開して応戦しようとした一行に、またしてもできたての罠が牙を剥きます。昨日とは違う場所に再びワイヤートラップが…矢弾を喰らってしまい、予想外の手傷を負うことになります。ゴブリンはディザーカが薙ぎ払って瞬殺したのですが…回復魔法を出発前に使用しているため、もう残りの魔法がわずか…結局2日目は成果をあげることができませんでした。





3日目もこの調子。日替わりで配置が変更されるトラップに対応しきれず、とまどう一行、そしてそれらをまったく発見できずに責められるレオン

攻守は完全に逆転していますが、ゴブリン達がいつ捨て身の特攻をしかけてくるかわかりません。この日は早めに村に帰り、バリケードを展開するなどして、夜襲に備えました。





そして4日目、前日早めに引き返したため、体力もバッチリ。結局昨夜は襲撃されなかったので、この日を最後にするつもりで、一気に畳み込むことにしました。

落とし穴とワイヤーだらけだったダンジョンも、人手不足なのかまったく罠のない簡素な洞穴に成り下がっていました。しばらく進むと、先頭を歩いていたレオンが何者かから奇襲を受けてしまいます。その相手こそ、この洞穴のボス、バグベアです。

出会い頭にいきなりモーニング・スターのヘヴィな一撃をもらい、気絶しかけるレオン。なんとか奇襲ラウンドを乗り越えてイニシアチブ…PC達は結構いい目を出したんですが、バグベアのロールが出目20…完全に先手を取られてしまいました。

こうして再びバグベアに殴られることになったレオンでしたが、近接攻撃ロールでDMがコケてなんとか回避! 即座にアリシュアが回復魔法を投射し、陣形を再編し、体勢を立て直します。

ディザーカの一撃で15点ちかく与えても落ちないバグベアに戦慄しつつも、果敢に戦い続ける一行。ディザーカはゴブリンを攻撃し、薙ぎ払いの追加攻撃でバグベア本体も狙うというタクティカルな行動をとりますが、敵の反撃も喰らってしまい、結構ピンチ。しかし、レオンが脇のゴブリンを押さえ、イリードがデイズでバグベアを1回休みにし、アリシュアが回復魔法で傷を癒す…という流れるような連携で崩された体勢を整え、そのまま一気に押し返します。

一行が勝利したのは、それから2ラウンド後でした。直前でLV2に上がっていなかったら負けていたかもしれませんでした。





ダンジョン内の敵を全て倒し、財宝も手に入れ、一行は胸を張って洞穴を後にしました。

昼を過ぎた頃に村に到着。顔色を窺う村人達に対して、全員で両手を上げて勝利宣言。村中が歓喜の声に包まれました。










村長 「本当に…なんとお礼を申したらよいものか…ありがとうございます!」


アリシュア 「気になさらないでください。」


レオン 「そうそう、困った人達を助けるのは当然のことじゃないですか。」


イリード 「あんたほとんど罠見つけられなかったじゃない…


レオン 「おい、聞こえたぞ!」


村長 「これは我々の感謝の気持ちです。小粒ですが、売れば金貨200枚分くらいにはなるでしょう。お納めください。」


アリシュア 「そんな、お礼なんて結構です!」


ディザーカ 「そうだ、村の復興にも金がいるだろう。俺達に礼なんか必要ないんだぞ?」


村長 「そうおっしゃらずに…どうか受け取っていただけませんか?」


ディザーカ 「そうか…じゃあ、この宝石をもらう代わりに、俺達がこの村の復興を手伝おう!」


アリシュア 「名案です!」


村長 「それはまことですか? なんと心強い…助かります!」


イリード 「じゃ、ここでお別れね。あたしはもう行くから、せいぜいがんばって。」


ディザーカ 「なに言ってるんだ、お前も手伝ってくれるんだろう?」


イリード 「は…はぁ? なんであたしが、冗談じゃないわよ。」


ディザーカ 「仲間じゃないか、俺達は!」


イリード 「ちょ、なにバカなこと言ってんのよ! 勝手に仲間にしないでよね!」


ディザーカ 「まぁまぁ、そんな嬉しそうな顔するな!」


イリード 「そ、そんな顔してないっ! ちょ、やだ、触んないでよ!」


ディザーカ 「よーし、一緒に村中の家を直しまくるぞー!!」


イリード 「は、離しなさいよ、バカ! 話聞きなさいってば!」





結局全員で村の復興を手伝うことに。レオンはその身軽さを活かして建物の修復に力を貸しました。アリシュアは怪我人の治療と食事の支度を手伝いました。イリードディザーカに指示を飛ばし、ディザーカは指示通りに動き、過酷な重労働を強いられました…

そして出発の日がやってきました。一行は村人達の感謝の言葉を背に、トーチ・ポートへと向かって出発するのでした。





イリード 「な、なんでついてくるのよ、あんた達は!」


レオン 「俺達もトーチ・ポートを目指しているんだからしょうがないだろ! お前こそ前歩くな!」


ディザーカ 「はっはっはっ! 俺達はもう仲間なんだからさ、そう目くじら立てるなよ。」


イリード 「だから勝手に仲間扱いしないでって言ってるでしょ!」


レオン 「あ、アリシュアさん、荷物持ちましょうか!?」


ディザーカ 「グゥレイトォォォ!! トーチ・ポートはまだかぁぁぁぁ!?」


イリード 「無視するなぁぁぁぁ!!」


アリシュア 「……神よ…私がいったい何をしたというのですか…?





彼らの冒険はまだ…始まったばかりである…







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