シーン 19 カード アラシ(離脱 危機的な状況からの脱出、改革、解放、など) SP 如月 一馬 RL:ある一室…まるでミイラのように幾重にも包帯を巻かれた厚木がベッドの上に横たわっている。その厚木の喉元、包帯 の隙間から伸びたコードは枕元のスピーカーに繋がっている。 厚木:……何が聞きたいんだ? 如月:お前に指示を出していた人間は誰だ? 厚木:的場 健一だ。 如月:真実だろうな? 厚木:こんな体になってまで抵抗する気はない。 如月:惨めな姿だな、同情するよ。……殴る気も失せた。 厚木:ふっ、お前も所詮は遠藤の操り人形だったってことか……期待していたんだがな。 如月:もう糸は切れたがな。 厚木:………………。 如月:ま、後で御隠居に可愛がってもらえ。『死ぬほど』楽しいぞ。 厚木:けっ………。 如月:じゃあな。2度と会うこともないだろう。 RL:じゃあ、部屋を出て遠藤のところに向かうんですね? 如月:はい。 RL:じゃあ、部屋の前だ。 如月:入りたくねぇ〜(苦笑) ノックして、『如月です。』 遠藤:ああ、入ってくれ。 如月:失礼します。 遠藤:今回は色々と大変だったようじゃな。お茶でも飲みたまえ。 如月:いえ、結構です…… 遠藤:そうか。 如月:……お察しのこととは思いますが、謝罪せねばならぬことがいくつかございます。 遠藤:ああ…謝る必要はなかろう。 如月:………え? 遠藤:むしろ褒めてやろうと思っておったところじゃ。よく、単独でそこまで動けたものじゃ。見事だったぞ。 如月:いえ、滅相もございません… 遠藤:うむ、まぁ、話は以上だ。今後も千早のためにがんばってくれ。 如月:今後!? お待ちください!! 遠藤:なんじゃ? 如月:私はあなたのことも疑ったんですよ!? 呼び出しにも応じなかった! あなたはそんな人間を今後も側に置くというの ですか!? 遠藤:………………。 如月:辞表も用意してきました……退職という形で責任を取らせてい……… 遠藤:いや、それでいいんじゃよ。 如月:え? 遠藤:ああいった状況に置かれた時、自分の頭で考えて行動できる者はそうそうおらん。その中で正しい答えを見つける者はさ らに少ない。極少数しかおらんじゃろう。今回お主は上手く立ち回ったと、わしは思っておる。 如月:御隠居……もったいないお言葉でございます。 遠藤:いやいや。そうじゃなぁ……もしこれでも納得がいかんのなら、今も続いておる千早の対立、軌道派ではなく地上派につ いてくれんか? それで今回のことは不問にしようではないか。 如月:……はい、わかりました。あなたのお言葉に従います。 遠藤:うむ、話は以上だ。 如月:あの……格さんは今どちらに? 遠藤:ああ、伝言を預かっている。『私は君の先輩ではありますが、社内での地位はあなたとそれほど変わりありません。お気 になさらずに。』だそうだ。 如月:格さん………。御隠居、ありがとうございました。感謝いたします。 RL:静かに襖が閉まっていきます(笑) 全員笑 クビを免れるどころか、遠藤に褒められたことに驚きを隠せない如月。遠藤の器の大きさを再認識しながらも、自分の取った行 動を心の底から反省する。『まだまだ未熟……』 自嘲的な笑みを浮かべながら、そう呟いた。