初仕事 〜地底深くに埋もれた寺院〜 前編




前回の冒険の舞台となった農村からの短い旅を終え、無事にトーチ・ポートに到着した一行。しかし、同時に別れの時が訪れます。それもそのはず…そもそも彼らは旅の途中で偶然知り合ってトーチ・ポートまで一緒にやってきただけで、共通の夢や目的を持っているわけではないのです。

到着後すぐに4人は別れ、それぞれの目的を達成するための活動を開始しました。





アリシュアは、町の人々に救いの手を差し伸べながら己自身を磨くために、しばらくの間ヒルガ聖堂でお世話になることになりました。ヒルガ聖堂ではペイロアが信仰の中心となっているようなので、彼女にとってもいい勉強になることでしょう。

イリードは魔法の研究をするために、東町の魔法院が兼ねている魔法学校に入学しました。宿と学校と図書館を往復する勉強漬けの生活ですが、彼女は彼女なりに楽しんでいる様子。現在は記録的なスピードで知識と技術を習得しているようです。

ディザーカは西町にある冒険者の酒場、ブレイヴ・クルーズ・インで調理の仕事を手伝いながら生活をしています。時折店主のバーグから儲け話や厄介事の情報をもらい、剣士としての修練も積ませてもらおうと考えているようです。

レオンも、同じくブレイヴ・クルーズ・インに部屋を取って生活しているようなのですが…こいつは昼過ぎに起きてきて食事をし、町をフラフラと歩き回って帰宅するという…ニート街道を爆進中のようです。





そんな、自分の道を歩き始めた4人が再び集い、冒険に挑むことになるというのが今回のお話です。

冒険者と船乗りでごった返すブレイヴ・クルーズ・イン。厨房で鍋を振り続けるディザーカに、店主のバークが「1つ仕事を頼まれてくれないか?」と相談してきます。










バーク 「おいディザーカ、ちょっと聞いてくれ。」


ディザーカ 「なんだ!? 忙しいから簡単に済ませてくれよ!?」


バーク 「実はな…この店によく薬草やハーブを届けてくれる、エメネリアっていう女性がいるんだが…」


ディザーカ 「おし、野菜炒めあがりだ、持って行ってくれ!! ……で? そのエメネリアって人がどうしたんだ?」


バーク 「彼女は町の北西にあるプラスコの林に住んでいるんだが、どうやら近所でおかしな寺院が見つかったらしい。」


ディザーカ 「おかしな寺院だって?」


バーク 「ああ、なんでも邪悪な気配がプンプンするって話だ。」


ディザーカ 「それで? そこに行ってこいって言うのか?」


バーク 「ああ。エメネリアのやつから、調査してくれそうな冒険者を紹介してくれって言われてな。お前、やってみないか?」


ディザーカ 「もちろんOKだ! 俺に任せろ!」


バーク 「そうかそうか、やってくれるか! それじゃあ早速話を聞きに行ってやってくれ。頼んだぞ!」


レオン 「ふぁ〜あ…おいディザーカ、なんか食わせてくれー。」


ディザーカ 「おお、レオンか! ちょうどいい、お前も一緒に寺院の調査に行かないか? どうやら魔物がいるらしいぞ!」


レオン 「寺院? ああ、別にいいぞ。ちょうどやることなくて退屈していたところだ。」


ディザーカ 「そうか、やってくれるか! さすがレオンだな!」


レオン 「で…? まさか俺達だけで行くのか?」


ディザーカ 「せっかくだし、あいつらも誘わないか? どうせこの町にいるんだろうし。」


レオン 「…あいつら? ああ、アリシュアさん達か。それはいいな。」


ディザーカ 「じゃあお前、ちょっと行って呼んできてくれ。俺は今忙しいんだ。」


レオン 「ああ、わかった。行ってくる。」





こうして、仕事を引き受けることになった2人。実はこの依頼の裏には、ちょっとだけバークの下心が隠されているのですが…そんなことはまったく知らない様子の二人。ディザーカは、仕事を一段落させるためにラスト・スパートをかけ、レオンアリシュアイリードを呼びに行くために店を後にしました。

二人がどこにいるかまったくわからないため、とりあえずレオンは、アリシュアがいそうなヒルガ聖堂に向かうことにしました。そしてその途中で、運よく(悪くかも…)イリードを発見することになります。





レオン 「あ、おーい! イリード!」


イリード 「……ん? あら…えっと…ディザーカだっけ?」


レオン 「おい待て、それは俺じゃない!! 俺はレオンだ!!」


イリード 「あれ、そうだっけ? ゴメンゴメン。………んで、あたしになんか用?」


レオン 「ああ、最近見つかった寺院の調査の仕事があるんだ。一緒にやらないか?」


イリード 「寺院? ……ふーん、どんな寺院なの?」


レオン 「俺はわからない。」


イリード 「…へ? ……じゃ…じゃあ、誰からの依頼なの? あと、報酬とか期間とかはどうなってるの?」


レオン 「それも知らないなぁ。」


イリード 「……………………………。」


レオン 「…な、なんだその目は!?」


イリード 「相っ変わらず使えないヤツね、あんたって…」


レオン 「しょうがないだろ! ディザーカが満足に説明もせずに、お前達を呼びに行けって言ったんだから!」


イリード 「…訂正…相っ変わらず使えないヤツらね、あんた達って…」


レオン 「なんだとー!? おい、取り消せー!!」





ぎゃあぎゃあと騒ぎながら東町を歩くこの2人は、さぞや異常に見えたことでしょう。しばらくして、ヒルガ聖堂に到着しました。





イリード 「へぇ…中はこんな風になってるんだ…立派な造りね…」


レオン 「………………………。」


イリード 「………ん? あんた、なにビクビクしてんの?」


レオン 「いや…俺、昔っからこういうとこ、なんか落ち着かなくて…」


イリード 「うわ…ダッサ…」


レオン 「なんだよ! いいだろべつに!」


アリシュア 「お静かに。


イリードレオン 「………………………ごめんなさい……」


イリード 「もぅ…レオンのせいであたしまで怒られちゃったじゃない…


レオン 「そもそもお前が原因だろうが!


アリシュア 「お二人とも、本日はどのようなご用でしょうか?」


イリード 「あんたが説明しなさいよ、めんどくさい。あたしは外で待ってるから。」


レオン 「え!? ちょ…あの…ここではちょっと…」


アリシュア 「ここで話しにくいのであれば、私達も外に出ましょう。」











アリシュア 「なるほど…寺院ですか…」


レオン 「はい、一緒にどうですか?」


アリシュア 「魔物がいるのですね、わかりました。すぐに行きましょう!」


レオン 「ありがとうございます!」


イリード 「で? この後どうするワケ?」


レオン 「ブレイヴ・クルーズ・インに戻ろう。そこでディザーカと合流して、もう少し詳しい話を聞く。」


イリード 「っていか、あたし達を誘うつもりだったんなら最初から詳しく聞いておきなさいよ。これじゃ二度手間じゃない。」


レオン 「だぁー! 悪かったって言ってるだろ!」





こうして3人は、ディザーカに会うためにブレイヴ・クルーズ・インへと戻りました。3人が扉を開けると…この店名物のケンカが始まっており、外にも漏れ出すほどの怒号が店中に響き渡っていました…





イリード 「…あの…さ…ホントにこの店?」


レオン 「ああ、そうだ。ここの奥であいつは料理作ってる。」


アリシュア 「ヒドいところですね…」


イリード 「ハァ…こんなところで話ができるわけないでしょ…来る途中にカフェがあったから、そこにしましょう。」


アリシュア 「それがいいですね…」


イリード 「じゃあレオン、早くディザーカ呼んできなさいよ。」


レオン 「ちょ!? ここ通って行けってのか!?」


イリード 「なによ! それじゃああたし達に行けって言うの!?」


レオン 「ちくしょう…なんでこんなことになっちまったんだ!!」










そこでタイミングよくディザーカが出てきてくれたため、レオンは一命を取り留めます。4人でカフェに移動し詳しい話をすることに。カフェでまたもやレオンが挙動不審になり、イリードにからかわれますが…そこは省略(笑)

注文後、ディザーカがバークから聞いた話を全員に報告しました。邪悪な気配っていう言葉を聞いてアリシュアが必要以上にやる気を出し始めました。とりあえず、さらに詳しい話を聞くためにエメネリアに会いに行くことにした一行。北西のプラスコの林に向かいます。





町を出てしばらく進み、林を奥へと歩いて行くと…湖のある開けた土地に建つ小屋が目に入ってきました。入り口には大きな狼が一匹。どうやらここにエメネリアという女性が住んでいるようです。

狼とディザーカが一戦交えた(じゃれ合った)後、騒ぎを聞きつけたエメネリアが小屋から現れ、ようやく話ができる状態に。「バークから話を聞いてきた。」と告げ、中に入れてもらいます。

特製のハーブティーをごちそうになりながら詳しい話を聞かせてもらいました。どうやら、この林のさらに奥にある洞穴の中に、突然謎の寺院のような建物の入り口が現れたのだとか…しかも、そこから発せられる邪悪な気配に、森の動物たちが怯えてしまっているようです。そこでエメネリアは、この寺院を調査してくれる冒険者をよこしてくれとバークにお願いしたようです。

エメネリア自身もそれ以上のことは知らないらしいので、話は終わりにして、次は直接その寺院に向かってみることにした一行。エメネリアから詳しい場所を教えてもらい、小屋を後にしました。





こうしてやってきた洞穴の入り口、レオンが<聞き耳>をすると、入ってすぐの西側の通路にモンスターがいることがわかりました。東側は大丈夫だと自信を持って告げたので、<捜索>を済ませてから中に入り、戦闘をすることに…














次の瞬間…














イリードが気絶ッ!!




西側に注意を向けていたら、東側の天井から現れたチョーカーというモンスターに背後から奇襲され、イリードが2回殴られて気絶してしまいました。

このチョーカー…触手による広射程攻撃と、他のモンスターよりもアクション回数が多いことが特徴のかなり手強いモンスターです。そんなやつ2体に奇襲を仕掛けられるという絶望的な状態から第1戦がスタートしました。アリシュアイリードを即座に治療しますが、再びチョーカーに殴り倒される始末。ディザーカレオンも前線で奮闘しますが、出目が悪く攻撃がまったくあたりません。そうこうしているうちに、1人…また1人と倒れていき、ついにはアリシュア1人となってしまいました。

ここでPL陣が緊急会議。このままじゃダンジョンの入り口で全滅してしまいます。もはや恥晒し以外の何ものでもありません。

30分ほど長考して出した答えは…レオンを治療して起き上がらせ、防御専念で囮にし、その隙にイリードを回復させて魔法で一網打尽にするという考え。早速実行に移します。

途中でつまづいた瞬間に我々の全滅が決定するため、マジでビクビクものでしたが、レオンががんばって敵の攻撃を避け続け、ついにイリードが復活。マジック・ミサイルで1匹を瀕死に追い込み、撤退させることに成功します。

しかし、ここで残った1匹が徹底抗戦をしかけてきます。脅威の出目20でレオンのAC24をブチ抜き、気絶に追い込むと、消耗したアリシュアに殴りかかってきます。最後の最後…「これで仕留められなきゃ殺られる…」という状況で、マジック・ミサイルが火を噴き、このチョーカーもなんとか追い返して戦闘終了。この戦闘に費やしたリアルタイムは、なんと1時間を超えました。

さすがにこれ以上の探索は自殺行為なので引き返すことに。我々の消耗っぷりの激しさにはエメネリアさんもドン引きしていました。そして近くの湖では、「あんたが東側にいたモンスターを発見できなかったせいであたしが気絶した!」とイリードがブチギレて、レオンの顔を水面に押し付けてました。SATSUGAI寸前でアリシュアが仲裁に入り、拷問は終了。全員帰宅して宿で休息を取りました。





2日目、先日激戦を繰り広げた十字路を西に進み、扉を発見しました。レオンが<捜索>を済ませ、扉を開けると…中からラスト・モンスターが2匹飛び出してきました。

ラスト・モンスターとは、その名の通り金属を錆びさせる極悪なモンスター…こいつの前には、鍛え上げられた伝説の剣だろうが、神に祝福された聖なる鎧だろうがただの鉄くずにされてしまいます。

奇襲を受け、ディザーカのハーフ・プレートとレオンのレイピアがボロボロに錆びてしまいました。昨日は全滅の危機…今日は苦労して揃えた装備を一瞬で無力化され、4人から生きる希望が消えかけてしまいました。結局数ラウンド後に戦闘は終了。一行に怪我はなく、負った被害は、装備品と心に受けた回復不能のダメージだけでした。





その後、十字路まで戻って東側の<捜索>を済ませ、今度は北側の通路を調べることに。大きな扉を開けてみると、北側に扉がある以外は何もないという小さな部屋。レオンが室内を<捜索>した結果、部屋中の床が落とし穴というイカれた部屋だということが判明。落とし穴と落とし穴の境目に、10cmぐらいのわずかな足場があるようなので、この日はここで引き返し、梯子を持ってリベンジすることにしました。

穴をまたぐように梯子を架け、ゆっくりと全員で渡りきり、扉を開けました。すると、扉の向こうの廊下からウルフのスケルトンが3体襲い掛かってきました。戦闘に入りましたが、アリシュアが太陽の領域特典を使ってアンデッドを消滅させることに。出目もそこそこよく、スケルトンは一瞬で灰塵に帰しました。

無事に落とし穴を越えた一行は、再び探索を開始。扉の向こうは少し進むとT字路になっていました。<聞き耳>の結果、西の方から大型の魔物が近づいてきていることが判明。陣形を組みなおして即座に応戦。

出てきたモンスターはアンケグ…強靭な大顎を持った恐ろしい魔獣です。イニシアチブで先手を取った一行は、ディザーカを前線に押し出して果敢に戦います。敵の超大な破壊力の前に目が眩みそうになりながらも、なんとか撃破…したのですが、突如もう1体のアンケグが壁を突き破って出現。連続戦闘に突入!

さすがに連戦のためか苦戦しましたが、ディザーカの重い一撃と、イリードの必中マジック・ミサイルでダメージを蓄積させていきます。そして3ラウンド目、イリードのマジック・ミサイルで5点のダメージが入り、アンケグが悲鳴ともとれる咆哮をあげます。










イリード 「今よディザーカ! 決めちゃいなさい!」


ディザーカ 「おう、任せろ!! グゥゥゥレイトォォォォ!!」






















イリード 「……れ、レオン! あんたの出番よ!」


レオン 「ああ、これで終わりだ!! いけぇ!!」






















イリード 「……あ、アリシュア! お願い、がんばって!」


アリシュア 「ムリですよー!!」


イリード 「ムキー!! なんであんた達は揃いも揃って当てられないのよー!!」


ディザーカレオン 「……ごめんなさい…」










結局瀕死のアンケグは、1ラウンド後にイリードのマジック・ミサイルによって死亡しました。この戦闘でこちらの戦力が大幅に削がれたので、ここで撤退することに。





調査開始から3日間経ちましたが、未だに入り口付近をうろついているというどうしようもない現状。果たして一行は、無事にこの寺院を調査し終えることができるのでしょうか?






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