陰謀 〜奈落へのカウントダウン〜 中編




盗賊A 「おーっと、そこの馬車! 動くな、止まれ!」


商人 「な、なんですかあなた方は!」


盗賊B 「俺達はここらを縄張りにする盗賊団、銀の翼団だ! 積荷を置いて失せな。」


ディザーカ 「おぉ、なんかかっこいいな!」


盗賊A 「ん? なんだお前、見所ありそうなやつだな。よかったらウチに入るか?」


イリード 「立派な名前だけど、やることはようするに物盗りじゃない。堂々と名乗るほどでもないくせに、バッカじゃないの?」


盗賊C 「おいそこの女ァ! 今なんつった!?」


レオン 「ま、まぁまぁ。俺達はただ、この先のグランビルって町に行きたいだけなんだ。見逃してくれないか?」


盗賊A 「そうはいかねぇなぁ。」


盗賊B 「…そうだ、代わりにその姉ちゃん達を置いていくってんなら、お前らと積荷は見逃してやってもいいぜぇ?」


盗賊A 「はっはっはっ!! そりゃあいいや!!」


アリシュア 「あ、あなた達!! 人に迷惑をかけるだけでなくそのような下劣な…!!」


盗賊C 「うるせぇっ!! オラお前ら、どうするんだ、あぁ?」





最低と最悪を足して2をかけたようなクズ共ですね…こんなやつらが暴力だけで生きていける世界なので困ったもんです。ここは戦闘かと思われましたが、なんとディザーカが<威圧>判定を宣言。おもしろそうだったのでDMが許可したところ、圧倒的な差でディザーカが勝利し、盗賊団3人を逆に脅す展開に。





ディザーカ 「……………………。」


盗賊C 「な、なんだお前…その反抗的な目はぁ! 剣から手を放せぇ!」


ディザーカ 「頼む、消えてくれ。できるなら人間は斬りたくないんだ。」


盗賊B 「あ、兄貴ぃ〜…どうしやすか? コイツ強そうですよ?」


盗賊A 「……くぅ……ちくしょうっ! やめだ! 行くぞお前ら!」


盗賊B 「あ、兄貴! 待ってくれよー!」


ディザーカ 「…ふぅ…」


イリード 「やるじゃないディザーカ! 見直したわ!」


アリシュア 「待ちなさい!! まだ話は終わっていませんよ!?」


レオン 「ちょ、待って待って! 今はグランビルに行く方が先決ですってば!」


アリシュア 「○&%□ΘX$=)(*"#&!!」










珍しく乱心したアリシュアを説得しながら、一行は残りわずかとなった街道を進み、グランビルへとやってきました。

この町の職工ギルドには多大な減税措置が取られており、そのためか各地から腕の良い職人達が集まってきます。昼間はそんな職人達と、各地から買い付けに来た商人達で活気に溢れていますが、夜となるとさすがに静かなものです。

ここまで一緒だった商人と別れた一行は、まず宿の手配を済ませ、食事を取った後に今後の方針について話し合いました。もう夜も遅いので、明日の朝から月の森と、その森に伝わる霊薬についての情報収集を行うことにしました。この日は疲れをしっかりと取るために早めに就寝しました。

翌日、夜明けと共に早速行動を開始する一行。まずは、月の森に行ったことがある人間を探すことに。しばらくして、食料品や日用雑貨を毎日森まで届けていた行商人がいるという情報をキャッチ。詳しい話を聞いて、直接会いに行くことに。










アリシュア 「すいません、ちょっとよろしいですか?」


商人 「いらっしゃい、何かお探しですか?」


アリシュア 「私達、月の森へ行きたいのですが、よろしければ案内してくださいませんか?」


商人 「…月の森…」


レオン 「アンタ、毎日食料とか届けていたんだろ? 頼む、森まで連れて行ってくれよ。」


商人 「ダメだ、もうあそこへは行けねぇ。」


イリード 「どうしてよ?」


商人 「わからねぇんだ。ついこの間も、いつものように物資を売りに行ったんだが、村の入り口で二度と来るなって言われたんだよ。」


ディザーカ 「ははは、オッサン、よっぽどひどいことしたんだな。」


商人 「お、俺のせいじゃねぇっての!」


イリード 「森のエルフが人間を拒んでいる…っていうこと?」


レオン 「なぁオッサン、俺達をそのエルフの村まで案内してくれないか?」


商人 「バカ言っちゃいけねぇ! 連中の目、ありゃマジだ! ノコノコ出てったら殺されちまうぞ!」


アリシュア 「お願いします! 私達、訳あってどうしてもあの森に行かなければならないんです!」


商人 「しかしだなぁ…」


アリシュア 「村の入り口まで案内してくださればそれでいいんです!」


レオン 「お礼もするからさ、頼むよ。」


商人 「う〜ん…」










結局、金貨を50枚渡すことを条件に、月の森にあるエルフの集落まで案内してもらうことになりました。その後は昼食を取り、手早く準備を済ませてから月の森へ向かうことにしました。グランビルから北東に15マイルほど進むと、ようやく月の森が見えてきました。

月の森のエルフ達は、森の動植物を傷つける者を厳しく罰することで有名なのだとか。アリシュアイリードもその情報を気にしてか、精神作用系の呪文を多目に準備しておいたようです。





日の光さえも遮るような大樹に囲まれた美しい森を進んで行く一行。しばらく進むと、レオンが物音を耳にします。慎重に様子を窺ってみると、前方にボアが2匹いました。しかしアリシュアが手早くコーズ・フィアーを投射して2匹とも追い払い、難なく突破することに成功。

しばらく進むと、今度は数十フィート先の開けた場所にブラック・ベアが数体うろついているのを発見。しかしこの熊達は威嚇をするだけで、近づきさえしなければ襲ってこなさそうだったので、ディザーカが注意を引いているうちに脇の小道を通って避けて行くことで回避。

細い獣道を通って行くと、今度は木々の間から先ほどのものよりも大きな熊が現れ、眼前に立ちはだかりました。さすがにこれはマズいということで、イリードがディープスランバーを唱えて眠らせることに。その場で眠りだした巨大な熊を恐る恐る跨いで、奥へと進んで行きます。

しばらく歩くと、丸太を組み合わせて作られた門扉が見えてきました。同行してもらった商人の話では、あれが月の森のエルフ達が住む集落の入り口のようです。案内はここまでの予定だったんですが、こっから一人で帰れっていうのも酷な話なので、結局最後まで付き合ってもらうことに。

無事に話は通じるのでしょうか。そして、月の森の霊薬を分けてもらうことはできるのでしょうか。期待と不安を抱きつつ、村の入り口へと近づくために1歩足を踏み出したその時…樹上から1本の矢が、レオンの足元めがけて飛んできました!










女性 「止まれ! それ以上進むな!」


レオン 「な、なんだっ!?」


女性 「ここより先は、我ら月の森の民が暮らす地。人間が何の用だ!!」


イリード 「ちょ、ちょっと危ないじゃない!! あんたいきなり失礼だとか思わないの!?」


アリシュア 「い、イリードさん、落ち着いてください!」


ディザーカ 「話を聞いてくれ! 俺達は月の森の霊薬ってのを分けてもらいに来たんだ!」


女性 「霊薬…だと?」


アリシュア 「原因不明の病気で苦しんでいる人がいるんです! どうかお願いします!」


女性 「………………。」


レオン 「疑うのなら、武器を全部あんたに預けるよ。それでもダメか?」


商人 「あのぉ…」


女性 「ん…あなたは、いつも村に立ち寄ってくれていた…」


商人 「この人達…薬を分けてもらうために、出会った動物達に傷一つ付けずにここまでやってきたんですよ。」


女性 「…傷を…つけずに…?」


アリシュア 「お願いします! 薬を分けていただけるのであれば、すぐに立ち去りますから!」


レオン 「話だけでも聞いてくれよ! 頼む!」


女性 「…わかった、お前達を信用しよう。」


ディザーカ 「やったっ!」


リア 「私の名前はリア。先ほどまでの非礼を詫びよう、すまなかった。」


イリード 「ふ、ふんっ! わかればいいのよっ!」


リア 「とりあえず…みんなを説得してくる。ここで待っていてくれ。」





そう言うと、リアは村の中へと戻っていきました。数分後、許可が下りたので、武器を預けて村の中へ。村人達は警戒を解こうとはしませんでしたが、露骨に敵意を向けてくるようなことはありませんでした。むしろ…どこか怯えているようにさえ感じられました。

リアに案内されるままやってきたのは、村外れの納屋のような場所でした。





リア 「すまない。悪いがいきなり長に会わせるわけにもいかないのでな、ここで話をさせてくれ。」


アリシュア 「それは構いませんが…どうして村の人達もあなたも、あんなに警戒していたのですか?」


リア 「最近、人間の盗賊団が村に襲撃を仕掛けてくるようになったんだ。」


レオン 「盗賊団?」


リア 「こんな小さな集落に財宝などあるわけないというのに…やつらはこちらの話をまるで聞こうともせずに、剣を抜いて蛮行を働こうとしたんだ。」


イリード 「それで警戒していたってワケね。」


リア 「確かに過剰な対応だったかもしれぬが、それ以来、村の子供達が怯えていてな。人間を寄せ付けるわけにはいかなかったんだ。」


ディザーカ 「なぁ、盗賊って、もしかして街道で出会ったあいつらじゃないのか?」


レオン 「あ、そうかもしれないな! 確か…銀のなんとか団…」


リア 「確かに、銀の翼団と名乗っていたが…知っているのか?」


イリード 「ハァ…頭が悪いってことだけは知ってるわ。ここでも堂々と名乗ったのね…バッカみたい。」


ディザーカ 「いっそ、俺達でやっつけないか? そのなんとか団。」


リア 「それができるのなら、こちらとしてもありがたいが…大丈夫なのか?」


アリシュア 「やってみます。それに、お世話になりっぱなしというのも気が引けますし。」


レオン 「俺達は盗賊団をやっつける。あんた達は薬を分けてくれる。これでいいんじゃないか?」


リア 「ありがとう…よろしく頼む!」


村人A 「キャー!!


村人B 「盗賊だー!! みんな家の中に入れー!!


リア 「…くっ!! やつらが来たのか!!」


アリシュア 「行きましょう!」


イリード 「ええ!」


ディザーカ 「おい、武器返してもらうぞ!」


リア 「え? あ! おい、待てっ、お前達っ!」


レオン 「ごめんなっ!」





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