決戦 〜虐殺の砦〜 中編
人の気配が感じられず、昼間だというのに薄気味悪い雰囲気を醸し出すフィガロ砦。裏口へと回りこんだ一行は、扉を開けて潜入を開始します。
扉を開けると、そこには下り階段が…当然、壁につけられた蝋燭は消されておりました。日中ですが地下ともなれば灯りなしでは進めません。レオンがランタンを準備して、<捜索>をしながら階下へ。
階下へ降りると、暗闇が広がる廊下へとたどり着きました。この時、ランタンで周囲を<視認>したレオンが珍しくモンスターを発見!
このモンスターはシャドウ・デーモン。「不浄なる暗黒の書」に記載されている恐ろしいモンスターです。痩せこけた人型生物の影のような姿をしており、蝙蝠のような羽根が生えています。アンデッドのシャドウによく似た姿をしていますが、その能力は異常なまでに高く恐ろしいものになっています。
一行はイニシアチブを制して先手を打ちますが、高いACに加えて「非実体の副種別」を持ったシャドウ・デーモンに攻撃を当てることは難しく、ディザーカもレオンも空振り。イリードは強敵と判断してライトニング・ボルトを放ちますが、シャドウ・デーモンは「火、冷気、電気、精神操作、毒、スリープ、麻痺、朦朧化、病気に完全耐性、クリティカルヒット、非致傷ダメージ、能力値ダメージ、生命吸収、大規模ダメージによる即死の対象にならない。」と、マンチ丸出しの難攻不落っぷり。
そして敵はダミング・ダークネスという呪文を投射。周囲に闇が立ち込めることに加えて、範囲内にいる善のクリーチャーに2D6、中立には1D6のダメージを毎ラウンド与えてきます。さらに敵は「暗闇強化」という特殊能力によって戦闘力が飛躍的に上昇。もはやカオス。
その後、イリードのマジック・ミサイルとディザーカの出目20(クリティカルに耐性があるためシングル・ヒットだったが、敵の高ACと失敗確立が無視できた。)によって何とか勝利こそしたものの、ディザーカのhpはボロボロ。…というのも、敵の爪が与えてくるダメージはすべて「猛悪ダメージ」といって、通常の手段では回復できないダメージなのです。hpの最大値が20点ちかく下がった状態で今後の探索を行わなければなりません。説明するまでもありませんがまだ入り口付近です。
もうこの砦にシャドウ・デーモンがいないことを心の底から願いつつ、一行は近くの扉を開けて食料庫へと入っていきました。そこには怯えながら身を隠す一人の少女が!
ルーアと名乗るこの少女は、砦で生活していた侍女の一人で、悪魔達から必死で逃げてきてここに隠れていたのだとか。彼女から入手した情報を整理すると…
・砦の中は大勢の悪魔達が徘徊している。
・悪魔達を指揮しているのは同じく悪魔で、頭に角の生えた女性だった。
・人質の侍女と兵士はそれぞれ別けられて監禁されている。
ということに。廊下のシャドウ・デーモンは倒してあるので、彼女には独りでトーチ・ポートまで非難するように伝え、一行は先へと進んでいきます。
廊下を進んで階段を上ると、調理場+食堂の広い空間に出ました…が、その部屋の景色は凄惨たるものでした…非武装の兵士達や、首や手足が欠損した侍女の死体がそこら中に転がっており、強烈な血臭が漂ってきます。数日前までは砦に住む人達の笑顔で満ち溢れていたであろうこの部屋も今では、文字通りの悪魔の所業によって作り出された、非現実的な空間となっていました。
そんな中、レオンが敵の奇襲を受けてしまいます。敵はバル=ルグラというオランウータンのような外見や仕草をしたモンスターが3体。先刻のシャドウ・デーモンと同じく、「不浄なる暗黒の書」に記載されている悪魔です。
イリードがエヴァーズ・ブラック・テンタクルズの呪文を投射して、敵3体を触手で締め上げます…が、1体は呪文によって作り出された幻でした。残る1体も意地を見せて組み付きから脱すると、テレポートして即座に逃走して行きました。取り残された1体は、組み付き状態から抜け出せず、触手+ディザーカ&レオンの弓矢によって無抵抗のまま倒れていきました。
調理場を抜けて食堂にやってくると、先ほど逃げたやつを含めたバル=ルグラ3体が一斉に襲い掛かってきました。部屋には椅子や机が散乱していたため、それらの遮蔽をうまく利用しながらディザーカ、レオン、アリシュアの3人で挟撃を仕掛けていきます。
バル=ルグラを1体倒したところで、後衛のイリードが、隠れ潜んでいたババウというモンスターに襲われてしまいます。が、割り込みアクションで発動させたヘジテイトの呪文で敵の行動を終了させ、事なきを得ます。ババウは急所攻撃を持っていたので、直撃したら危なかったでしょう。
ババウのカットにアリシュアが加わり、そのラウンドにディザーカがバル=ルグラを1体倒すと、戦局は安定。結局次のラウンドでババウも倒し、最後に残ったバル=ルグラはテレポートで逃走していきました。
食堂側には2つの扉がありました。レオンの<聞き耳>判定の結果、左の扉から話し声が
聞こえてきたので、一行は左の扉を開けて進むことに。
扉の向こうは寝室となっており、明かりが灯っていました。さすがにこの規模の砦ともなると、寝室自体が広いです。んで、その広い寝室にはサキュバスと、彼女のチャーム・モンスターで魅了された兵士が3人いました。即座に戦闘開始。
兵士は操られているだけなのでなるべく攻撃せずに、サキュバスのみを徹底的に狙うことにしました。が、先手を取ったサキュバスはいきなり飛翔…ちょっとマズい感じです。イリードがディザーカにフライをかけて、ディザーカは空を駆け上がりながらコンポジット・ロングボウを早抜きして攻撃。次の手番で間合いを詰めてグレートソードに持ち替える算段。
数ラウンド後、事件発生。サキュバスが防御的発動で唱えたサジェスチョンがディザーカを襲います。意思セーヴに失敗したディザーカは、「食堂で私が来るのを待っていて。」という艶っぽい命令に従い、部屋の外へと移動を開始してしまいます。これで空中に攻撃する手段は、レオンのショートボウとイリードの攻撃呪文のみ。
一方、地上を一手に引き受けて防御専念していたアリシュアの隙間を縫って、兵士達がイリードに殺到します。イリードはスパイダー・クライムをスクロールから発動させて壁面を疾走し、兵士の手の届かないところからマジック・ミサイルのワンドを振り続けます。
しかし2ラウンド後、イリードもサキュバスのサジェスチョンにかかり、部屋の外へと移動を始めてしまいます。いよいよヤバいかと思われたその時、レオンが放った矢弾を受けたサキュバスが力尽きて落下してきました。ギリギリのところで勝利。
術が解けたディザーカとイリードが申し訳なさそうに戻ってくると、兵士達も我に返り、なんとか話し合いが出来る状態に。
この寝室からは、隣の部屋にあるもう1つの寝室と、階下にある牢屋へと行けるらしく、この兵士達は階下の牢屋からサキュバスに連れてこられたイケメン達のようでした。
話を聞いた後、兵士達と一緒に階段を下り、地下の牢屋へ向かいました。6室あるうちの1室は空っぽになっており、残りの5室に3人ずつ兵士が閉じ込められていました。レオンが<開錠>でこじ開けて全員を救出。
兵士A 「ありがとう、おかげで助かった!」
ディザーカ 「これで全員か?」
兵士B 「いや…最初は倍ぐらいいたんだ。だが女の悪魔や、気味の悪い悪魔に数人ずつ連れて行かれて…」
兵士C 「あいつら…無事だろうか?」
一行は先程の食堂で見てきた光景を思い浮かべ、胸を痛めました。
兵士B 「侍女達の安否も気になる…頼む、あんた達、あいつらも助けてやってくれ!」
兵士D 「俺達じゃあいつらには歯が立たねぇんだ…ちくしょう…」
兵士C 「女も守れなくて…何が兵士だよ、情けねぇ…」
アリシュア 「顔を上げてください。あなた達の気持ちは充分伝わりました。」
イリード 「安心しなさい、あたし達が必ず助けてあげるから。」
レオン 「もともとそのために来たようなもんだしな。」
ディザーカ 「オッサン達の気持ちと一緒に戦うぜ! だから信じて待っててくれよな!」
感謝の言葉を口にしながら泣き出す兵士達。その横で涙を拭いながら、まだ幼さの残る兵士が一行に話しかけてきました。
兵士E 「皆さんは食料の搬入口から入ってきたんですよね?」
レオン 「ああ、そうだ。」
兵士E 「だとすると………多分、侍女の皆さんは住み込み部屋に閉じ込められているはずです。」
兵士A 「だろうな。あんた達が行っていない部屋で、あの人数をしっかり閉じ込められるのはあの部屋ぐらいだ。」
ディザーカ 「その部屋はどこにあるんだ?」
兵士E 「食堂から廊下に出たら北に進んでください。で、最初の分かれ道を右に行くと、敵を迎撃する兵たちの待機所があります。」
兵士B 「そこは多分、敵が潜んでるだろうから気をつけてくれ。」
兵士E 「……はい。そして待機所を越えて次の突き当りを南に行くと地下階段があります。その階段を下りると侍女の住み込み部屋です。」
兵士C 「あいつらのこと、どうか助けてやってくれ! 頼む!」
ディザーカ 「任せとけって! じゃあ、悪いけどここでもう少し待っててくれ!」
一行は再び寝室に戻ると、<捜索>を行い、サキュバスが使っていた+1フレイミング・コンポジット・ロングボウと、同じくサキュバスの私物であろう宝石(合計4000gp相当)をゲット。弓をディザーカに持たせ、次は隣の寝室へ。
この部屋には兵士に姿を変えたバル=ルグラとババウがいましたが、不意打ちを喰らう前になんとか見破ることができました。なんとか勝利することはできましたが、レオンとディザーカの出目が悪く、必要以上に呪文のリソースを消費する結果となってしまいました。
その後、兵士の助言通りに進む一行。しかしここで恒例の悲劇が…先行するレオンがシャドウ・デーモンに襲われてしまったのです! 二度と会いたくないモンスターNo.1だった存在に再びエンカウント。ディザーカが露骨にイヤそうな顔をしました。
前回と同じく、開幕一番でダミング・ダークネスを投射されましたが、多少の戦闘経験があるだけでずいぶんと楽に感じられました。イリードは後衛から確撃するマジック・ミサイルを連射し、ディザーカは「無視界戦闘」の特技を活用して斬撃を命中させていきます。
被害を最小限に抑えての勝利…とはいうものの、ディザーカの猛悪ダメージはこの時点で合計24…もうシャレじゃ済みません。
廊下の奥で見つけた下り階段を下りると、そこには兵士達の話にあった侍女の住み込み部屋がありました。一行の姿を見るや、安堵のため息をつく侍女達。
侍女は合計で7人。部屋Aに5人、部屋Bに2人閉じ込められており、救出するとすぐに兵士達の安否を尋ねてきました。多少の答え難さはありましたが、「寝室の地下の牢屋であなた達を待っている。」とだけ答え、連れて行くことにしました。
Bの部屋にいた2人が、「ぜひお礼をしたい。」と、レオンとディザーカにこっそりと声をかけてきました。しかしここでディザーカが渾身の出目20を連発し、その二人の侍女がサキュバスであることを見破ります!
敵方のイニシアチブ値がショボかったため、PC全員が先制。レオンとディザーカが1体を挟撃し、急所攻撃+クリティカルで瞬殺! 残る1体はディザーカにチャーム・モンスターを唱えてきますが、意思セーヴに成功して無効化。次のラウンドに集中攻撃を仕掛けて沈めます。
こうして兵士と侍女を救出した一行。生き残った人数はずいぶんと少ないですが、「やれるだけのことはやった」と思うしかありません。彼らだけでも救えた事をよかったと思わねば…
全員を後ろに引き連れて1階へと戻り、慎重に歩を進める一行。そしてついに砦の入り口に辿り着きました。レバーで門を開けて、彼らには自力でトーチ・ポートまで非難するように頼みました。
一行はというと…ほとんど力を使い切ったような状態(特にディザーカ)でしたが、ここで一旦引き返したりしてしまうと、リベルカはトーチ・ポートに直接襲撃を仕掛けてくるかもしれません。そうでなかったとしても、逃げられたりしたらそれこそ始末に負えません。重い身体を引きずりながらも、一行は覚悟を決め、最終決戦へと赴きます。