第09話  数多の腹心  中編




夕方、一行が廃屋に着くと、スクイルと仮面の魔道師との密談がすでに始まっていました。会話を盗み聞きするために<忍び足>を試みますが、向こうの<聞き耳>に敗北してしまい、到着後2秒でバレるハメに!






スクイル 「誰だ!?」


ミュー 「…バレた…」


レイム 「チッ…しょうがないね…」


スクイル 「…お前らは…」


ルイン 「私達のことを狙っているのはお前達だな?」



すると…その問いに答えながら仮面の魔道師が一歩前に出ました。



??? 「あ〜ら、よくわかったわね〜。」


全員 「…うっ…」


??? 「なに露骨にイヤそうな顔してんのよっ!!


ルイン 「……すまん…お前は……その…何だ?」


??? 「バケモノみたいに言わないでよ!! いい加減にしないと怒るわよ!?」


ミュー 「…バケモノ…」


??? 「聞こえたわよ、そこのちっこいの! 後で覚えてなさい!」


レイム 「…で? アンタはどこの誰なんだい?」


シュリエック 「アタシの名前はシュリエックよ。覚えておきなさい。」


ルイン 「…私達が持つ石を狙っているそうだな。」


シュリエック 「あら、そこまで調べがついているのね。感心感心。」


レイム 「あの石が一体何なのか、アンタわかって狙っているの?」


シュリエック 「まぁ…だいたいは…ね。」


スクイル 「さぁ、おしゃべりは終わりだ。さっさとその石とやらを渡してもらおうか。」


ルイン 「……断る。」


スクイル 「何ィ…?」


ルイン 「私達とて、趣味や道楽であの石を受け継いだわけではない。」


ミュー 「…この世界…守る…」


レイム 「そうよ! アンタ達みたいな得体の知れないやつに、簡単に渡すわけにはいかないね!」


スクイル 「…ンのガキども!!」


シュリエック 「あっはっはっはっ! ダメよ、スクイルちゃん。こういう子達はね…痛い目に合わなきゃわからないんだから。」


ルイン 「……やる気か?」


シュリエック 「バカ言わないでちょうだい。アンタ達の相手なんてこの子達だけでじゅうぶん。」



シュリエックはそう言うと、懐から2本の巻物を取り出し、呪文を唱えた…すると、昼間に町で戦ったハウラーが2体召喚されました!



ルイン 「これは…! 昼間のも貴様の仕業か!?」


レイム 「町中にモンスターを放つなんて…いったいどういう神経してるんだいっ!?」


シュリエック 「クズ共が何人死のうが、知ったこっちゃないわ。じゃ、後よろしくね、スクイルちゃん。」



するとシュリエックは、ディメンジョン・ドアの呪文を唱え…消えていった…



スクイル 「…ったく、あのオカマ…面倒なこと全部押し付けやがって。」


レイム 「来るよ!! 準備はいいね!?」


ルイン 「万全だ!!」


ミュー 「…いつでもOK…」






こうして、夕暮れの廃屋でスクイル&ハウラー×2との戦闘が始まりました。

再びイニシアチブで先手を取られる一行、先刻の悪夢が再び繰り返されました。針うっぜぇんだよっ!!

ハウラーの行動後、スクイルはインビジビリティを唱えやがりました。ローグとソーサラーのマルチクラスだったようです。不可視状態になって近づき、急所攻撃を仕掛けるのが目的だったようですが…マルチクラスのためかローグレベルが低く、急所攻撃のダメージもミューの半分以下…




こいつは無視しとこう。





無視してハウラーをボコボコ殴っていたら、調子に乗って中間距離からマジックミサイルをブッ放してきました。…これにルインがキレて、突撃を宣言。+2のボーナスを得て攻撃し、大ダメージを叩き込みます。ちょうどその頃、ハウラー2体も沈み、残るは瀕死のスクイルただ一人…






スクイル 「やべ…インビジビリティかけて逃げよ…」


全員 「なんだってーっ!?






アルが追ったが間に合わず…深追いするのも危険なので、傷の手当を済ませていったん宿屋に帰還しました。状況がどんどん悪い方向に進んでいる気はしますが、進展しているのも事実。明日も地道に情報収集をすることを決め、全員就寝。





翌日、一日の資本…朝食を食べていると、宿屋にハウラー×2が飛び込んできました! 一同憤慨。






シュリエック 「お食事中にごめんなさいね〜。」


ルイン 「出たな、オカマ!」


シュリエック 「オカマって言わないでちょうだい! アタシの名前はシュリエックよ!」


ルイン 「聞き取りにくいんだ、お前の名前は。」


シュリエック 「………………。」


ミュー 「…それに…言いにくい…」


シュリエック 「…………………………。」


レイム 「別にいいじゃない、アンタは事実オカマなんだから」


シュリエック 「ブッ殺す!!






激怒したシュリエックとの戦闘が始まります。こちらも楽しい朝食タイムを邪魔された恨みをぶつけなければいけません。気合で先制権をゲットして、一気に畳み掛けようとします。





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